アイヌ民族博物館 アイヌ民族博物館(アイヌみんぞくはくぶつかん)は、北海道白老郡白老町にある博物館。アイヌ語で「大きい湖の集落」を意味する「ポロトコタン」と呼ばれる野外博物館の施設の一つでもあった。2018年3月31日まではポロトコタンと共に一般社団法人アイヌ民族博物館によって運営されていた。
概要
アイヌ民族博物館は、アイヌ民族に関する有形・無形の資料を専門に展示・保存し、調査研究、教育普及事業を総合的に行う社会教育施設として、白老町民はじめ広域の人々に利用してもらい、学術及び文化の発展に寄与することを目的としている。野外博物館の性格を持つ園内にはアイヌの住家であったチセやプ(食料庫)、ヘペレセッ(ヒグマの飼養檻)、チプ(丸木舟)などを復元・展示してコタン(集落)を再現している[4]。博物館ではアイヌ民族の資料約5,000点、北方少数民族資料の約250点を収蔵しており、約800点を常設展示している[4]。また、アイヌ絵や文書約150点、図書約7,500冊を所蔵している[4]。文化伝承・保存事業としてイオマンテなどの伝統儀礼を実施ているほか[4]、伝統工芸の機織りやキナ(ゴザ)編み、民族衣服の製作、アイヌ文様の刺繍なども常時実施・公開しており、アイヌ文化に触れることができる体験学習を行っている[4]。
儀式で使うトノトを作るため酒類製造免許を取得している[5]。
国の「民族共生象徴空間」(2018年に愛称がウポポイに決定)整備に伴い2017年度末で閉館し、新たに「国立アイヌ民族博物館」が2020年に開設する予定である[6]。運営を1本化する方針である国立アイヌ民族博物館の運営主体を目指すため、アイヌ文化振興・研究振興機構が一般財団法人アイヌ民族博物館を吸収合併する形で協議を進めている[7][8]。なお、閉館後の拠点として旧白老町立社台小学校校舎を活用する予定にしている[9]。
2020年4月1日、初代館長に、元国立民族学博物館副館長の佐々木史郎が就任した[10]。
歴史
1965年(昭和40年)に白老市街地にあった「白老コタン」を現在地となるポロト湖畔に移転し、「白老観光コンサルタント」が運営主体となる「ポロトコタン」として営業開始した。1967年(昭和42年)には白老町立による「白老民俗資料館」(現在のアイヌ民族博物館旧館)が開館した。1976年(昭和51年)、白老コンサルタントを発展的に解消した「財団法人白老民俗文化伝承保存財団」を設立。1984年(昭和59年)に「アイヌ古式舞踊」が国の「重要無形民俗文化財」に指定されたことに伴い財団による伝承公開が始まり[注 1][13]、民俗資料常設展示施設として「アイヌ民族博物館」(新館)が開館、博物館法による「登録博物館」になった。